『宝島』

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「この島、季節感が分からないな」  みかんなど晩秋であろう。どうして、食べられる状態なのか不明であった。もしかして、みかんではないのか。でも、食べても大丈夫そうではあった。  やっと浜に到着すると、征響は木を集めていた。  濡れた木は、そうそう燃えない。乾いた物が何もない。雨はやっと止んだが、風はまだ強かった。 「洞窟は、土砂崩れで埋まっていました。米は無理です」  俺はリュックから、みかんを出した。 「人数分は確保した筈です」  みかんを配ると、皆、酸っぱさに顔をしかめつつも食べていた。 「タケノコ、取ったばかりですが、生でも大丈夫かな」  先ほどよりも固くなってしまっていた。やはり、煮るか焼くかした方がいいか。 「救助のためにも、煙を出したいけど。火か……」  藤原が、リュックから食べ終わった菓子の包みで巻いていた、ガイドブックを出してきた。どうにか乾いているので、燃やす事ができそうだ。 「リュックを背負っているなら、缶詰も持って歩けば良かったな」  藤原は残っていた菓子と、缶詰もリュックに背負っていた。 「藤原、食い意地だけはあるものな……」  缶詰と菓子を皆に分けると、火を起こしてみた。ガイドブックは燃えるが、次に燃やす物がない。 「印貢のリュックは、何が入っているの?」  俺のリュックは、たいして物は入っていない。タケノコやみかんなど、運搬用に使用していただけだ。 「ごめん、空だ」  中学生が薪を集めて、浜に並べていた。乾くのかは分からないが、何もしないよりかはいいだろう。 「タケノコ?どうにか生でいけるよ」  何の竹であろうか。細い竹であった。鍋くらい持ってあるけば良かったかと思っていると、倉吉が鍋の上に座っていた。 「倉吉先輩、鍋を持って歩いていたのですか?」 「ああ、音で誘導していたから」  鍋と棒を持って歩いていたらしい。 「それでは火をお願いします。ヤギ、狩ってきます」  森にヤギの姿を見つけた。 「食べる気か?」 「はい!」  火を通せば、ヤギも肉であろう。 「鳥レベルにしないか?ヤギはハードルが高い」  鳥も飛んでいるが、ヤギのほうが楽であろう。でも、皆が反対するので、鳥にしてみた。  服を破ると紐にして、両先端に岩を結ぶ。それを鳥に投げてみた。 「雉?かな」  かなり大きな鳥を採ってしまった。雉の頸動脈をナイフで切り、生きたまま血抜きをする。その姿に、中学生が逃げていた。
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