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もう中学生たちは、親と家に戻っているという。
「兄さんと将嗣さんが揃うと、毎回、こんなですか?」
佳親は首を振ったが、征響は頷いていた。これは、征響の判断が正しい。
「明日は朝ここを出発して、帰るよ」
やっと家に帰れる。
「征響、ごめんな。かなり無理させたな」
「まあ、慣れています」
この兄弟は、長年、こういう関係であったのであろう。どこか他人行儀でも、中身の温かさを感じる。
「でも、俺、征響をすごく信頼できるようになった。今まで怖い先輩ってだけだったけど、今は怖い兄って感じがする」
「……違いが微妙だな。しかも、怖いは変わらないのか」
正直に言うと、今まで他人で、今は肉親という気がする。征響は決して俺を見捨てないと、どこかで信頼してしまった。
「じゃ、弘武、同室で眠るか」
「はい!」
佳親が反対をしているが、征響はさっさと部屋を決めてしまった。
征響と同室であると、藤原は寄ってこない。東タが隠した物も気になっているが、東タが開かずの間にしてしまった部屋も気になる。
征響の目を盗み、野中にデータを送ってみた。すると、どう情報が流れたのか、ホーから返事があった。
東タは特許を自分の名義にしていたが、共同研究者がいた。東タは、会社を解散して二人で研究してゆくと、周囲に言ったという。会社の成果も上がっていなかったし、勝手に増やしている社員の給料や、何をしているのか分からない従業員にも腹を立てていたとされる。
どうしてホーが知っているのかというと、東タの共同研究者から、愚痴を聞いた。ホーは商人であるので、この相手は理奈ではない。
共同研究者は、双子の弟の湖南であろう。同じ頭脳なのだ、その信頼は計り知れない。
野中からは、東タの部屋のセキュリティならば簡単に解除できるとの連絡があった。重要なのは、密室として、そこに東タがいると思わせたかっただけなのであろう。
「犯人は、この研究所の職員、全員だろうな」
全員が口裏を合わせないと、密室ができなかった。東タを生きていると見せかけて、会社の資金は分配されていた。東タの味方であった理奈は殺され、その愛犬ポチコも島に置き去りにされた。東タも島に置き去りにされた。
「東タは自殺なのか……」
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