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その後、校門まで着くと若桜は、カードと襟のバッチを校門の守衛に見せ一言二言話すと俺の手を引きつつ校門をくぐる。
「俺、他校生だけど入っちゃ駄目なんじゃないか?」
「大丈夫。許可とったから。それに時枝君に会わせなきゃいけない人いるから。時間帯的に今いるだろうし。」
答えつつ、手首の腕時計を確認した若桜は近くの棟の扉に自分のカードを当て扉が開くとともに俺の手を引いたままエレベーターへ進む。
「今から会う人って?」
最上階のボタンを押した若桜は、手を離しこちらの方をしっかり見つめる。
「時枝君は、芸能界って興味ある?」
そして俺の答えが出る前に最上階についたと知らせる音がポーンと鳴った。
若桜の方を見つめたまま答えが出せない俺に若桜は優しく微笑む。
「今、答え出さなくても良いから。一緒に楽しいこと探ししよう。」
そう俺に呟いた若桜は、エレベーターから出てすぐの扉に手をかけた。
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