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「みょんみょんみーこだみょん。本日は10月3日をお知らせするみょん」
ロングヘアの清楚系、日谷みーこがテレビの向こうでほざいた。
朝の静けさの中に清涼材にしては起爆剤すぎやしないか。
やれ、朝が来た。
近所のジジイがゴミだし。
ガキが学校にわいわい集団登校。
木漏れ日の中を自転車で突っ走って、橋の下の小川のせせらぎに心躍らせて何が楽しい。
おいおい、人生はハードブラックだよ。
ミルクも無いようなコーヒーが出てくる喫茶店と同じようなものさ。そういえばあのコーヒー屋、ハロウィン新作メニュー出たってさ。
所変わって、学校。
教室に入った途端、クラスメイトがワタシの名前を呼んだ。
「あれー、さっちー来るの早いね」
そりゃみーこの気まぐれお天気予報で気味悪くてね。速攻登校わりかし気分は絶不調。
「そりゃそうか。みーこキモイしね」
そのきもいしねが若干『キモイ』『死ね』に聞こえるのは空耳だ。
アヤはそんな酷いことは言わない。
「まあさっちーそんなことで英語のノート見せてよ。今度おごるからさ」
彼女は手を合わせてきた。
どうしようなさがカバンに手を突っ込ませた。
ダメさ加減が心を刺激したらもうだめだ。
そう思ったとき、メントールを思い出した。
『ひりりりん』
それが耳に響いた時、何故か気が変わった。
「ごめん、無理」
何かここで見せたら申し訳ない気がする。
誰にとも何故にとも分からないが。
「えーなんで? 友達でしょ」
「ごめん、空欄作ってたの忘れてた。あはは」
「あーわかんないとこ飛ばすからいいのにーまあ、いいや昼休みにでも教えてよ」
教えて。あ、それくらいならもちろん。
「うん」
これがメントールの呪いの始まりだった。
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