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「美しき箱。
古びた箱。
清らかな箱。
宝石つまった箱。
思いでつまった箱。
宝物一杯な箱。
世界は箱で、できている」
楽しそうに歌いながら建物内部の一階を掃除する少年。
「世界は箱でできている。どれを選ぶかは己次第。だれを選ぶかはあなた次第」
一階に引き詰められた箱の山。
同じ箱などないと言わんばかりに大小、色形関係なく存在する箱。
「今日は機嫌がいいなぁ」
声にはいと少年が答える。
「何て言ったって今日は」
「今日は?」
「おしるこの日!なんですよ!」
「あ、うん。そうか。よかったな」
生暖かく見守りそうな声で告げられる。
少年は気にした様子もなく箱が引き詰められた一階を掃除する。
「ふーんふーん」
「おーい。飯だぞ」
入り口とは対向にある、ドアから男がお椀片手に出てくる。
「おしるこー!」
「よし、まず手、洗ってこい」
「はーい」
叩きをもってドアの向こうへと消えていく。
その間に男は簡易の椅子と机を用意すれば戻ってくる。
「さぁ、おしるこです!」
椅子に座り両手を会わせて告げる。
「いただきまー」
地面が揺れ、咄嗟にお汁粉を押さえる少年。
青年は入り口を見て睨む。
「お客様ですね」
お汁粉を名残惜しそうに眺めると周囲を見る。
「さてと。お仕事といきましょうか」
お汁粉を眺めつつ告げる。
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