0人が本棚に入れています
本棚に追加
2
仕事に行きたくない月曜日。仕事に慣れてくる火曜日。ぱっとしない水曜日が過ぎて、少し心が浮き足立つ木曜日が来た。鏡の前に立つ自分の姿を確認する。七部丈のパンツ。半そでのプリントシャツ。時計にアクセサリー。これにパンプスを合わせて準備完了。
待ち合わせは駅前。そろそろ出ないといけない。
携帯をもって、バッグを持つ。パンプスを履いて、ドアを開ける。鍵を閉めて階段を下りていく。
かつんかつんかつん。
すごく天気が良い。いつの間にか季節は夏に差し掛かっていた。ついこの前まで春だったのに。近くの公園で桜がきれいに咲いていて、部屋は桜の樹がちょうど見えた。窓を開けると部屋に桜の花びらが入ってくる。それはまるで小説の中みたいだと、引っ越してきてすぐの時は思った。それでも私の生活は季節とは違い、なんの変化もなかった。1年はとても早く、気がつけば季節が過ぎ去っていく。1年が長くて濃かった頃はもう遠い昔となってしまった。何をしても楽しく、世界は自分のためにあると思っていた日々は、今はもう影を潜めていた。
最初のコメントを投稿しよう!