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「お昼は大変そうね」
「そうですね。サラリーマンとか結構来るから急がしいかな」
「そのあと学校って、大変じゃない?」
「そうでもないっすよ」
もう一口、水野君は水を飲んだ。ずるずる。私は箸で少しだけつまんだ麺をすする。
「充実しててたのしいです」
「うらやましいな」
ぼそりと小さい声でつぶやく。
「佐原さんは毎日たのしくないの?」
「んー、なんかとりあえず生きてるみたいなかんじかな」
「そっか」
ずるずる。今度は水野君が麺をすする。私みたいに少しずつじゃなくて盛大に、大量に。まるで、くじらがごはんを食べるみたいに。
「じゃあさ」
大量に口の中に吸い込まれた麺が水野君のおなかの中に消える。
「今度俺と遊びましょう」
「え?」
「だって、たのしくないって言ったじゃないですか。それってきっと、たのしいことしてないからだと思うんですよ。バイトして、家帰って、寝て。それの繰り返し。そんなんじゃさ、たのしいなんて思わないよ。だって何もしないんだもん」
いつの間にか水野君はこっちを向いて、私の顔を見て、話をしていた。
「だから、俺と遊びましょうよ」
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