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「おはようございます」 「おはよう」 春林のドアを開けるとちりんちりんと音が鳴る。厨房の奥には中井さんのまぶしいスキンヘッドが見えた。厨房を抜けると、事務所がある。事務所とは言うものの、人がぎりぎり二人入るか入らないかくらいに狭く、更衣室としてくらいしか使われていないようだ。事務所に着くとドアの前の看板が使用中になっていた。いつもならこの時間は私くらいしかここは使わないはずなのに。私しかいないと思ったからぎりぎりの時間に来たけれど、これでは少し遅れてしまうかもしれない。どうしようか。トイレで着替えてこようか。そう思った時にガラリとドアが開いた。出てきたのは中井さんと同じ厨房のエプロンを身に着けた男の子。頭にはタオルが巻かれていた。 「あ、どうも」 「おはようございます」 男の子はすぐに脇によけると、私が通れるように道を開けてくれる。 「あの」 事務所に入ろうと靴を脱ぎながら、男の子のほうを向く。
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