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「水野さん何歳ですか?」
サンダルを履いて、靴を靴棚に戻す。
「俺、十八なんです」
「一歳違いだね」
「十九すか?」
「そう」
水野君が厨房へ向かったので、その後ろをついていく。
「うれしいな」
「え?」
「いや、昼っておばちゃんしかいないから。年近い人久しぶりだなって」
そう言った水野君が本当に嬉しそうにしているのを見て、私はほっこりした気持ちになる。
「学校とか年近い人いるでしょ」
「まぁ、そうなんですけど。でもこっちにいる時間もそれなりに長いんで、年近い人いないとつらいんすよ」
厨房の手前で水野君が止まる。それにあわせて私も止まる。まるで親がもと子がもみたいに。水野君が振り向いてにっこりと微笑んだ。
「じゃあ、今日はよろしくお願いします」
そう言ってぺこりと頭を下げる。出会って数分しか経っていないけど、幼さの残る笑顔はなんだか水野君らしいなと思った。水野君が厨房に入って行く。少ししておはようございます、と水野君の元気な声が聞こえてきた。そして中井さんの返事。
その場で大きく息を吸う。吸った息を吐く。私も厨房に入っていく。
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