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「どうぞ」 「ありがとう」 ことん、と皿の隣にコップが置かれた。水野君が席に座る。手に持っていたコップの水を一口飲んで皿の隣に置いた。 「水野くん気が利くね」 「いや、そんなことないっすよ」 笑いながら水野君は言った。 「仕事も私のフォローしてくれてたし、助かったよ」 「そっすか?」 「うん。中井さんは作る専門だから」 料理はとても美味しいのに、スキンヘッドと無口が災いして、中井さんはあまり表に出たがらない。 「いつも二人なんすか?」 「私が入る時間はそうだね」 また二人で麺をすする。あんがかかった麺は思っていたよりも覚めるのが遅く、あつあつのままだ。 「佐原さんていつも五時からですか?」 「んー」 急いで麺を飲み込む。水野君を見ると、大きな口の中に麺が消えていった。 「いつもは九時からだよ。土日だけ早く入れさせてもらってるの」 「へー」 水野君は前を向いて、コップをとった。ごくんと水を飲むと水野君の喉が鳴る。
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