第3章

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遥香は赤井にも確認したかったが、三田村に本当の事を話したことは黙っててくれと懇願されたので、諦めて世田谷西署を出た。 でも、あらためて聞くと、どう見ても三田村が嘘を言っている様には見えなかった。 第一、彼は刑事なのだ。 刑事が、そんな作り話を一市民に話す訳がない。 もしこの事件が三田村が言っているように怪奇なモノだとしたら、警察が真実を掴める訳がない。 自分の母の事でもあるし、遥香は自分で調べてみることにした。 結局、本当の殺人事件だとしても、それはそれで警察が犯人を捕まえてくれるだろうと思った。 遥香は、東武蔵(ひがしむさし)大学文学部を卒業後、小さな出版社に就職したのだが、約2年勤めたところでその出版社は倒産して無職になった。 その後は、一応就職活動をしていたが、このご時世、それは難しいことで、未だに決まってはいなかった。 逆にそれは、時間が有り余っているということでもあった。 遥香は、まずはこんなコトを相談できる人物に一人、心当たりがあった。 だからこそ、自分で調べてみようと思ったのもある。 彼女はまだ夕方前なので、早速、母校の東武蔵大学に足を向けた。
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