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遥香は赤井にも確認したかったが、三田村に本当の事を話したことは黙っててくれと懇願されたので、諦めて世田谷西署を出た。
でも、あらためて聞くと、どう見ても三田村が嘘を言っている様には見えなかった。
第一、彼は刑事なのだ。
刑事が、そんな作り話を一市民に話す訳がない。
もしこの事件が三田村が言っているように怪奇なモノだとしたら、警察が真実を掴める訳がない。
自分の母の事でもあるし、遥香は自分で調べてみることにした。
結局、本当の殺人事件だとしても、それはそれで警察が犯人を捕まえてくれるだろうと思った。
遥香は、東武蔵大学文学部を卒業後、小さな出版社に就職したのだが、約2年勤めたところでその出版社は倒産して無職になった。
その後は、一応就職活動をしていたが、このご時世、それは難しいことで、未だに決まってはいなかった。
逆にそれは、時間が有り余っているということでもあった。
遥香は、まずはこんなコトを相談できる人物に一人、心当たりがあった。
だからこそ、自分で調べてみようと思ったのもある。
彼女はまだ夕方前なので、早速、母校の東武蔵大学に足を向けた。
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