イケメン教師の正体

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イケメン教師の正体

 学園長と龍弥を乗せた黒塗りの高級車が星河学園中学校の校門の中に入って、教員が出入りする玄関の前で止まり、佐知子と龍弥が車から降りるのを校長と教頭先生が頭を下げて出迎えた。  その光景を用務員室の窓から黒木が煙草を吸って眺めている。 「龍弥のヤツ、事件の張本人のくせに堂々としてやがる。困ったもんだぜ」  煙草を窓枠の下に隠しているが煙りは外に漂い、にやにやした不敵な表情が揺れて見えた。  そう黒木だけは龍弥の悪巧みをある程度は知っていて、今回の事件は序章であり、龍弥はまだとんでもない計画を考えていると不安を抱えていた。 「あんなエロ教師を野放しにしといて、いいのかねー?」  机の灰皿の横にはガラス瓶が置いてあり、その中には砂と幼虫が数匹入っている。それが血の期待感でモゾモゾと蠢く。 『とんでもねー、サイコパス教授なんだぜ』  龍弥は朝礼の件で学園長室に来るように言われていたが、校長と教頭を従えて通路を歩く佐知子に声をかけた。 「トイレに寄ってから、学園長室へお伺いします」 「そう?待ってますわ」  鞄を持ってトイレに向かう龍弥の後ろ姿を見てふと不審に思うが、佐知子はそのまま学園長室へ向かった。校長と教頭も暫く振り返っていたが、学長に挨拶して教員室へと歩き出す。
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