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砂に紛れた数匹の幼虫がデスクの上でモゾモゾと蠢き、それを見た佐知子は驚きで凍りついた。
「ひっ」と呻いて立ち上がって逃げようとしたが、龍弥に髪を引っ張られて突っ伏し、頭をデスクに押さえ込まれて鼻とおでこに砂が付く。
バタバタと足を踏み鳴らし両腕をデスクについて顔を少し浮かせた佐知子は、モゾモゾと這い寄ってくる幼虫に目を背けた。
「お母様、お願いがあります。ボクを副学園長にしてもらいたい。それを朝礼で発表するのです」
「龍弥。やめなさい。なんてことするの?許しませんわよ」
「しゃべると虫が口の中に入りますよ」
それで佐知子は口を閉じたが、幼虫は頭部を上げて頬を突き、唇と鼻の穴に触れて遊んでいる。
「龍弥。お、お願い。やめさせて」
「副学園長にしてもらえますね?」
佐知子は顔面を硬直させて頷いたが、幼虫は鼻の穴の中へ入り、さらに唇の隙間へ潜り込んだ。
「ごめんなさい。お母様。これで貴方は虫の奴隷ですね」
龍弥は佐知子の頭を両手でテーブルに押さ込んだまま、そう言って微笑んだ。
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