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「本当に陸斗はNISEMONOだったんですかね?」
消化しきれない事実が次々となだれ込み、大河を追い越していく。大河の弱々しい言葉を優しく律子は包み込んだ。
「今はゆっくりと進みましょう。ほら、紅葉が綺麗よ」
カウセリングルームの窓から見える紅葉を律子は眺める。律子の言葉は聞こえていたけれど、そんな気分にはなれなかった。
「なんで陸斗の遺体が札幌なんかで見つかるんだよ」
いつもの敬語口調は崩れ、心から漏れたような大河の嘆きに対して、律子さえも言葉をつまらせた。
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