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「仕方がありませんね」
どこかで聞いたことのある声。少女は今にも途切れそうな意識の中、必死に探し求めた。この声は――。
仮面を剥がした素顔を見て、少女は言葉を失った。
「私はあなたです」
その言葉に少女は顔を歪めた。そして、手を奴に向けて伸ばそうとしたところで少女は意識を失った。
「さよなら……木村綾子さん」
その声は嘲笑うようでもあり、悲しげでもあった。フードを再び深く被り直し、奴は混沌とした世界に紛れ込んでいく。
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