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ラウルヌール王国の伝承
はるか昔、砂漠に小さな村がありました。
村の住人達は照りつける太陽、吹き荒れる砂嵐にも負けず生きていました。
ある時雨の降らない日が長引いてしまったのです。
そのせいで村の井戸の水は枯れかかっていました。
水がなければ生きていけない。村の人々は深く絶望しました。
そんな中、1人の青年は村の占い師に尋ねました。
「どうしたらみんなを救えるか教えてください。」
占い師は言いました。
「砂漠を超えたところにオアシスがある。それは精霊<ジン>の住まう場所の入り口だ。そこへ行き、精霊<ジン>に助けを求めるのだ。」
青年は旅に出ました。
青年は広大な砂漠を歩き続けました。
何日も何日も歩き続けました。
そして青年はやっとの思いでオアシスに着きました。
そこには1人の精霊がいました。
青年は言いました。
「お願いです。偉大なる力を持つ者よ。どうか我々の村に恵みの水をお与えください。」
しかし精霊は首を横に振り、オアシスの湖にとあるものを映し出しました。
映し出されたのは荒れ果てた村と弱りきった村の住人達でした。
「村は滅びかけている。もう水を与えても手遅れだろう。」
青年は叫びました。
もっと早く来ていればみんなを救うことができたかもしれないのにと。
他人のために涙を流す青年に精霊は言いました。
「それだけ村が大切か?本当に大切だと思うならどんなことをしても救いたいという気持ちがあるなら村を救ってやろう。」
青年は精霊に懇願しました。
「僕はどうなっても構いません。
だから村を、村の住人達をお救い下さい。」
その言葉を聞いた精霊は湖からいくつもの精霊を呼び出した。
精霊達は流れ星のように村に降り注いだ。
そして精霊達は住人達の体の中に入っていった
そうすると住人達はみるみる元気を取り戻していったのです。
「村は救われた。
これからこの村の住人達は我らと共に生きていくだろう。
我もまたお前と共に生きよう。全てはお前の大切な村と我の大切な同胞のため。」
そういうと精霊は光となり青年のなかに宿りました。
こうして村は救われ、村の住人達は己の中に宿った精霊の力を使い村を大きく発展させ、一つの国を作りました。
その国の名はラウルヌール。精霊の力を持つ人々が住まう国。
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