ハロウィンに集まりし忍者

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ダンスが行われる場所は体育館の半分くらいの大きさで、結構な人数が集まっていた。 ギリギリまでパートナーを探そうとする男性や女性、だたの見物人も含めると50人以上はいると思われる。 社長他数名は審査員席のような長テーブルに座っているが、みんな仮装をしているので全く誰か分からない。 どちらにしてもパン工場の人は知らないので、エライさんだろうと横目で見ておいた。 可愛いコスプレ女子に紛れ、本気の社交ダンスのような深紅色のドレスに、スパンコールでキラキラしているドラム缶体型のオバサンを発見した。 『あれ……木村さんじゃね?』 目の回りだけ仮面を付けているが、どう見ても木村さんでパートナ―の男性は甲冑姿に覆面をつけている。 ガタイの良さが気になったので回りこんで覗いたが、身長と首回りで田村さんにしか見えなかった。 『あの二人がダンスペア!?なんか母の浮気現場を見たようで気まずいっ』 お互いに会話を交わす事もなく、ただ静かに座っているドレスと甲冑のペア。 そして少し離れた場所に眩しいグリーンのドレス姿のマダムと、忍者姿でカボチャの目ざし帽を被ったペアも控えていた。 「瑠里、あれハツさんじゃない?仮面つけてるけど絶対そうだよ」 肩をポンポン叩き指をさしているのに、全く興味を示さず窘められる。 「たわけ者!今は任務の最中。他に気を取られず、目標はクミちゃんだけにせい」 すっかりカボチャの手下となった忍者探偵は、クミちゃんがどれかも分からないのに探すフリをしている。 私はむしろあちらのペアが気になって落ち着かないが視線はそのままで黙って立っていた。 「あっ、クミちゃんいた!」 そそくさと移動を始めるカボチャに先導され、仕方なく後に続いているが全く乗り気ではない。 クミちゃんは人形みたいなパーツの持ち主で可愛いし、パートナーは顔を出していたが細身で人の良さそうな雰囲気だった。 「くそっ!あんなヒョロいのどこがいいんだ!」 「いや、素朴で優しそうで性格も良さそう、工場のラインで真面目に働いてるんじゃない?」 瑠里の言葉が刺さっているようだが、カボチャはワザと隣に行き男性の顔をガン見していた。
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