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「クミちゃん……そんな奴パートナーでいいの?」
まだ悪あがきをする気かとちょっと可哀想になってくるが、カボチャは自信を持った声で話しかけている。
「そっちもパートナーいるじゃん、覆面姿お揃いで可愛いね」
隣にいる瑠里に向かって話しかけてるクミちゃんは、カボチャは眼中にないようだった。
「俺はこんなのよりクミちゃんと踊るつもりだったのに、なんでそいつなの?」
「う……ん、いつも優しくて背も高くてカッコいいから」
バッサリと一刀両断されたカボチャは、茫然としてクミちゃんと男性の後ろ姿を見送っていた。
「もう諦めなよカボ忍。男は引き際も肝心だよ、何かこっちまで切なくなってきた」
瑠里は頭巾を取り、首に巻いて涙を拭うフリをしても、カボチャはまだクミちゃんから目が逸らせないようだった。
「照れ隠しかもしんねーだろ!お前らは黙って俺のいう事聞いて……」
カボチャは大きな声を出して振り向いたが、急に大人しくなり瑠里の顔をポカンと見ていた。
「あ、曲が始まったよ?」
私はもう一人のカボチャとペアで踊り始めたが、兎の世界でばあやに特訓して貰ったおかげで少しはステップが踏めている。
パートナーのカボチャは背が高いが、今日はブーツにヒールがあるので何となく誤魔化せた。
瑠里とフラれカボチャの背の高さは丁度いいバランスだ。
今までイザリ屋で出会った男性陣は皆背が高いが、フラれカボチャは恐らく170センチ位だろう。
お互いに忍者の格好だし、黙って踊っている分には全く問題なく見えた。
パートナーはダンス経験があるのか、リードしながらゆったりと踊らさせてくれている。
さりげなく周りを見ると田村さん・木村ペア、ハツ・カボチャペアはプロ並みに踊っていて優勝を狙ってるとしか思えない。
「おっ!お前らもパートナー見つけたんだな」
リーダーの声がしたかと思うと可愛い魔女と一緒に踊っている。
ドラキュラ風にメイクしているので、逆に強面が隠せ、背の高いイケメンだと思われたのかもしれない。
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