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「ふふん、己が足で纏いになると気付き先手を打ったつもりらしいが、プレミア服を自慢したボンボンの協力は御免だ。リーダーと共にボロ雑巾になって来るがよい」
捨て台詞を決め瑠里が去ろうとすると、ガチャッとドアが開き発砲スチロールを抱えた男が部屋に入って来た。
「お待たせ肉持って来たぞ、A5ランクを薄切りにしてもらった」
ヒョロっとしたサル面の男性で可愛らしい顔をしているが、声からするとフラれカボチャだ。
私より少し下の年齢に見える幼い顔つきで、前髪は顔に少し被っているが、いたずらっ子のようなヤンチャな目つきだ。
「カボ忍!丁度いい所においでなさった、私達も帰る所だし、いい手土産になろうぞ」
瑠里が近づくとちょっと目を逸らせ気味で意識してるのがバレバレだ。
猿面は瑠里が気になっていると鈍い私でも分かったので、気を利かせ先にドアを潜ろうとした。
「おい百合!お前は俺の気持ちが分かるだろ?」
珍しく啄が名指ししているが聞こえないフリをしておいた。
猿は瑠里に勿体ぶって発泡スチロールを渡してる間、滋さんに目配せをされている。
協定でも結んでいるのかこの二人はタッグを組んでるらしい。
「瑠里、もし合宿に参加したら俺もプラスで30万出すぞ」
二人合わせて60万。
これなら墓石を修復してイナリにベッドを買って焼肉を食べに行き、クリスマスケーキ代を入れても貯金が出来る。
「俺も合宿に参加してるからその間は一緒にいれるし、いい案だと思うだろ?」
猿はどうでもいいが金額を聞くと二人の心はグラグラと揺さぶられていた。
「内容もよく分からないし、怪我もしたくないからちょっと怖い…」
いい訳をしているが瑠里の足は部屋の中に戻っている。
「大丈夫だ、俺もいるし合宿担当だって鬼じゃないからそんな酷い事はしないぞ」
瑠里は悩んでいたが、私は滋さんの不気味な笑みがどうも気にかかる。
何かを企んでそうだし今目の前にいる死神と、猿も恐らくキツネの親族だ。
「あとこれ、昨日のダンス会でベストカップル賞に選ばれたからお揃いのキーチャーム」
瑠里とカボチャは確かに真面目に踊っていたし、審査はきちんと行われていたみたいだ。
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