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「これ大丈夫?身体にマイクロチップ埋め込まれた気分なんだけど、狐の呪いとかじゃないよね?」
「あそこにいるキツネも平気って言ってたし、私も今のところ問題ない」
「いやあの爺さんはキツネ面じゃん、むしろグループ分けしたら仲間でしょ?それに私は般若でもないし普通の人間だから」
イラッとしたのが表情に出たのか、瑠里は数歩下がってクレームを言っていたが、特に異常もなさそうだ。
「ワシも害はなかった、並外れた男前でキツネの化身と思ったかもしれんが普通の人間じゃ」
社長は自画自賛しながら訂正を加えると、双棒を持ち瑠里に渡した。
「何か変化が出るかもしれん、試しに出してみたらどうじゃ?」
瑠里がかしわ餅を出したので、部屋に居た全員が思わず壁際に移動した。
「瑠里どう?なんか青い光は薄っすら見えてるよ」
「う……ん、なんか変えれる気がする」
柏餅をペタペタ捏ねていたが、皆んなは後ろに下がりながら様子を見守っていた。
餅が段々と膨れ上がると、かなり距離を保ってる筈なのに間近に居るくらい大きくなっている。
「瑠里っヤバいって、爆弾そんなに大きくしたらさすがに部屋吹っ飛ぶよ?」
「狼の力が尋常じゃなかったでしょ 、これくらいの武器を投げたら効くかなって思って」
運動会の玉転がし程度になった餅を見て、さすがに社長もその辺にしておきなさいと助言を入れた。
「これ爆弾じゃないですよ、石みたいに硬いから当たったら痛そうです……ねっ!」
こちらに向かって砲丸投げのように飛ばしてきたが、双棒を持ってないので、社長の腰を足蹴りして盾に使った。
「誰っ、ワシ蹴ったの!」
田村さんと一緒に別の場所に移動するとズシ―ンッという音が響いた。
真っ二つに割れたかしわ餅が崩れ落ち、社長の双棒からは金色の光を放つ刀が出ていた。
「試し投げなら人のおらん方にして!殺す気っ!」
格好良く餅の岩を切っていたがさすがに焦ったらしい。
「社長なら何とかなるかと思って、もっと大きく出来そうなんで試してみましょうか」
「いや今日はいい、皆帰ってゆっくりと休もう」
早々にトレーニングは打ち切られ、咄嗟に社長を蹴った私を、田村さんがいつまでもクスクスと笑っていた。
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