イザリ屋の合宿

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イザリ屋の合宿

「リーダー、合宿ってどこであるんですか?」 パネル部屋に移動している間にこっそり質問をしておく。 「ウチの施設の一つだ、確か今回の場所は金だから狐の世界寄りだった筈だ」 「そう……ですか」 異世界に施設がある事にも驚いたが、狐という響きも緊張する要素の一つだ。 さすがにウチの施設だから外部の者は入れないと思うが、まだ兎の世界に近い方が安心感もある。 パネル部屋の扉を潜るとのどかな田舎の風景が見えたが、所々に違和感のある大きな建物に小麦のマークが刻まれている。 この広い場所全体がイザリ屋所有なんだと規模の大きさに圧倒された。 少し歩くと軽トラがこちらに近づいて来て、つなぎを着た人がリーダーに挨拶すると、全員荷台に乗るよう指示され合宿所まで送ってもらえるようだ。 大きな工場みたいな建物がいくつも並んだ敷地に入ってからも、軽トラは止まらない。 景色を見ながらガタガタと揺れる荷台でジッとしていたが、ある建物の前で降りるよう言われ中を案内された。 リュックもそこで預け奥に進んで行くと、見知らぬ男性が何人もいて皆雑談をしていた。 腕の所にある小さな刺繍の色は違うが、みんな強そうで優秀だし、何日も合宿を乗り越えてもパンのおかげか疲れは見えてない。 場違いなのはすぐに気付いたが、回りも特に私達をガン見したりする事はなく興味もなさそうだ。 リーダーは一番後ろの方に座り、私達も隣に腰を降ろしていた。 暫くすると怖そうな顔の男性が入って来たが、田村さんで慣れているのでビビる事なく静かにしていた。 「ここまでお疲れだった。あと二日は無色のチームも飛び入り参加だが、訓練目的なので他の者は今まで通り頑張って欲しい。無色チームはナビの説明は受けてるか?」 「はい」 リーダーが返事をすると、男性は説明の続きに入ると思いきや、とんでもない事を言い出した。 「残りの二日は監督者交代で立花家の者が入る。今まで以上に過酷になると思うが、ここまで来たら最後まで残って試験を受ける資格を手にするように」 いい終わると男性は下がり、代わりに見慣れた人が入ってくる。 「今日の監督は立花滋です、優秀な皆の成長を早く見たいので楽しみにしてます」 室内がザワザワとしていたが、無色チームは全員何も言えず顔色が悪くなりお互い苦笑いをしていた。
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