ハロウィンに集まりし忍者

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翌日は昼過ぎまで布団で過ごし、起きてからもパジャマ姿でウロウロしていると母に注意され渋々支度に入る。 シャワーをすると若干目が覚めたのか、時代劇の予告シーンの音の違いに反応した。 新シリーズが始まるようだが、ドラム缶もイナリもテレビの前で釘付けだ。 闇で殺しの依頼を引き受けるタイプと、殿が城下に出て事件を解決するタイプが特にお気に入りで、セリフやポーズもよく真似をしている。 「そろそろ普通のチャンネルに変えてくれない?終わったよねそれ」 「残念ながらスペシャルで今までの一挙放送なの、九時からは海外ドラマの予定が入ってるけど、七時には出かけるでしょ?」 始まりの歌と終わりの歌を暗記するくらい闇シリーズを見続け、御飯中に若干見入っている自分にも嫌気がさしてきた。 「ーーどう?」 一足先に食べ終えた瑠里が着替えを済ませポーズを決めている。 頭巾は被っていないが、偽忍者は張り切ってエアー手裏剣を投げる格好を何パターンか試している。 「まぁ、普通に忍者っぽいよ…いいんじゃない?」 「姉さんも食べて着替えたらいいよ。茜は顔が出るから軽く化粧もした方がいい、ポニーテール忘れずにね!」 急かすようにハンガーを渡され私も部屋で着替える事にした。 被ればいいだけになっていて、意外と楽に着れるしそれなりに見える。 髪をポニーテールにし、メイクをしてレギンスを履いたところでリビングに行くと、テレビを見ていた全員でこちらを見た。 「アンタらこの時代劇メンバーの一員みたいになってるよ?伊賀の忍者?」 「違うって!忍者探偵Xだよ、今流行ってんの」 「ふーん、今テツが苦戦してるからヘルプに参上してあげてよ」 画面の中で敵との戦いで負傷しているテツ。 母はどうやら主役よりもテツというオッサンが気に入ってるらしい。 「でもハロウィンでしょ?女の子は姫とか魔女とか可愛い恰好して行くんじゃないの?」 「使える物は利用する、変なコスプレ衣装買ってもゴミになるだけだからね」 自信満々に答えた妹だが、これも変なコスプレ衣装だと思っても口には出さないでおいた。
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