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「姉さんはここで座って待ってて、適当に団子とか取ってくるから」
素早く列に並ぶ瑠里を見ていると呆れた声で啄が近づいてきた。
「やれやれ……手当たり次第食いあさってんな」
「うっさいよ、忍者の格好全く似合ってないじゃん、そんなまん丸だと手裏剣のマトにされそうだね」
「ムカつく奴だな、これはプレミアで手に入れた忍者探偵X完璧バージョンだぞ?お前らみたいな偽忍者とは訳が違うんだよ」
グレーの忍者服に身を包み、ゴールドのプレートを額に当てているが体型が偽だと物語っている。
「格好の前にスタイルなんとかすれば?折角の金も意味ないよボンボン忍者」
「腹立つっ!お前茜ちゃん役だろ?そんな口悪くないしイメージ壊すな!」
「知らねーよ、本物見たけりゃ家に帰って漫画本見て会ってこいボンレス」
ホットドッグを食べながらこちらに睨みを利かせていたが、瑠里が戻って来るとプレミア服の自慢話を始めていた。
私はどうでもいいので団子を食べながら、パンが安く貰えるくじ引き場を目で探していた。
「どーせダンスの相手いないんだろ?ワオンは踊れないと言ってたし、その他の男性陣はモテモテだから諦めた方がいいぞ」
「ふんっ!そんなもんに興味はないね、私らはあとパンのくじを引いたらお暇するよ」
啄が離れて行くと、長テーブルの隅に忍者の格好の人が座り、肩を落として泣いているように見えた。
妹は私の肩を叩くと『さっきのカボチャじゃない?』とクスクスと笑いだしていた。
『やっぱ瑠里の予想って当たるわ、ザマ―ミロ』
団子を頬張っていると同じく忍者の格好でカボチャの目ざし帽を被った男性が、慰めるように頭をポンと撫でていた。
「あんな女別に相手にしてなかったし。金持ちでカッコいい俺に気付かないなんて、アイツの目がおかしいんだよ」
フラれた途端悪態をつく性格の悪さに苛立ちを覚えるが、負け犬の遠吠えにしか聞こえず瑠里の笑い声も大きくなっている。
「まぁいい、俺を振ってどんな奴がダンスの相手になったか見に行ってやる、見る目がない女だと嘲笑ってやる!」
未練タラタラとしか思えないが、もう一人のカボチャに意地でも張っているのかと思うと、私の肩も我慢出来ず揺れていた。
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