正直者

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「----うむ。以上が、あやつが今まで生きてきた記録か」  地獄の閻魔大王は閻魔帳を開き、あの世に来たばかりの男についての査定を行っていた。閻魔帳には、正直者の彼について、死ぬまでの情報がビッシリと書かれていた。 「閻魔様。それで、別室に待たせてある彼はいかがなさいますか」 「うむ。あやつは、今まで散々、大事な情報を横流し続けたようだな。死ぬ直前にも。非常に許し難い。情報というのは、時として個人の命にも関わるもの。それを、易々と喋ってしまうようでは。こいつには、地獄にいってもらう必要があるな」 -教訓-  昔から『嘘つきは泥棒の始まり』ということわざがあるが、正直者は馬鹿を見る』ということわざもある。本当と嘘は織り交ぜて使うのが、丁度いい生き方なのだ。
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