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「――さあ、これでラストだチョメ。みんな気合い入れて、飲まれちゃならんチョメ!」
「「「らじゃー!」」」
そこはちょっと大きいお家。というよりも、施設。
「「「トリックオアトリート! こんばんはー!」」」
シュイーンと自動ドアが開き、広いエントランスには大勢の人たちが待っていた。
「プギー。お菓子をくれなきゃ、すねちゃうプギ!」
パシャ。
「おやおやまあまあ、それは大変。チャーコちゃんよく来たねぇ」
並べた椅子に座って、たくさんのおじいちゃんとおばあちゃんがシワシワの顔をさらに皺くちゃにして笑っている。
「おい、ジジイとババア。お菓子をくれなきゃ、消灯時間になった後、電気つけに来ちゃうチョメよ」
「フォフォフォ、それをやられたらケアの人たちにご迷惑をかけてしまうなぁ。くわばらくわばら」
老人養護施設のエントランスに、普段はない笑い声が溢れる。
筋張った手は小さくて、震えがずっと止まらないお年寄りもいるし、そもそもこんな風に落ち着いて椅子に座っていられない方もいる。
けれど年に一度、この奇抜で可愛い小さな集団がやって来るのをみんな心待ちにしているのだ。
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