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「ヤダ! そんなお肉料理の仮装なんか売ってるわけないプギ! もっと可愛いのがいいー!」
『……ケバブ、ありますよ』
店内カウンター奥の暗がりから、闇に溶けるような声が聞こえる。
そして連なる棚の1つが、ぼうっと鈍い明かりで浮かび上がった。
「プギ……ケバブ……?」
パシャッ。
その棚にディスプレイされているのは、イイ感じに焼けた円柱形の肉に長い棒が刺さっている被り物。
「あったチョメ……さすがハロウィン専門店チョメ」
「ふわ……、でもハロウィンとケバブ、関係ないですー」
「ニャニャッ? よく出来てるニャリ。ここがマジックテープになってて体に巻くニャリね」
ほほおーっと一同、そのクオリティにしばし感嘆。
「で、でも! 可愛くないプギ!」
パシャッ。
『何をおっしゃいます……。チャーコさんのこの上ない可愛さがシュールに引き立ちます。そして何より……』
店の奥からの不気味な声に、全員が息を飲む。
『……ウケます』
「決まりチョメ!」
「そうニャ! ハロウィンにお化けの仮装はあってもケバブはないニャリ。確実にウケる!」
「だぉね、だぉね! 斬新プギー!」
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