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「……本気で言っているのか?アルカ殿」
リシャールさんは真面目な性分からか、渋面を浮かべながらこちらの真意を図ろうと俺の瞳を覗き込んでくる。
「それは……また、かなり厳しい道になるでしょうね……」
リュックさんは元々商人だったので損得には厳しい一面がある。
だからこそ俺の意見が損得勘定で言えばほとんど損しか無いことにも気が付いているのだろう。
二人の表情を見れば意見に反対、少なくとも賛成という顔はしていない。
だが、ここでこの二人さえ説得出来ないようでは俺の意見を押し通していくことなど不可能だろう。
「まぁ、二人の気持ちも分かる。甘い絵空事に近いってことも、損得勘定で見ても損しか無いってことも。だがな、命令された事しかできないまま使われてるだけじゃさすがにこの先やっていくのは厳しいと思うんだ」
二人に俺の思いを伝えるため感情に力を込めて語っていく。
「それに切り捨てていくやり方に慣れ過ぎればどのみち信頼を失っていくばかりだと思うわけさ。聖人君子を目指しているわけじゃないから敵味方分け隔てなく活かすなんて無理だろうしするつもりもないけど、一度信じた仲間くらいは守っていきたいと思うわけだ」
語っててちょっと恥ずかしくなってきたがこれが俺の本音なんだ。
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