1

5/18
前へ
/18ページ
次へ
『雨竜堂菓舗』 その扉を見つけて、塔子はぽかんと口を開けてしまった。 通りから背を向けるように、胸の高さくらいの小さな扉が柳の木に埋め込まれている。 中からは甘い香りが漂ってきて、口の中にじわっと唾がわいてきた。 こんな所にあるなんて。 いやいや、メモには『雲竜堂』と書かれている。これは違うお店かも。 しかし、なんだってこんな木の中にお菓子屋さんがあるのかしら。 違ったら飴でも買ってみることにして、道を聞くだけでも、とにかくお店に入ってみよう。 ぐるぐると頭の中で考えながら、塔子は扉を押した。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加