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『雨竜堂菓舗』
その扉を見つけて、塔子はぽかんと口を開けてしまった。
通りから背を向けるように、胸の高さくらいの小さな扉が柳の木に埋め込まれている。
中からは甘い香りが漂ってきて、口の中にじわっと唾がわいてきた。
こんな所にあるなんて。
いやいや、メモには『雲竜堂』と書かれている。これは違うお店かも。
しかし、なんだってこんな木の中にお菓子屋さんがあるのかしら。
違ったら飴でも買ってみることにして、道を聞くだけでも、とにかくお店に入ってみよう。
ぐるぐると頭の中で考えながら、塔子は扉を押した。
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