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黄色いろうそくの灯りが照らす店内は薄暗くて、雨だからか木の中だからか、空気がじめっとしている。 「いらっしゃい」 カウンターから声をかけてくれた店員を見ると、ぼうっと暗闇から浮き上がったような、鋭い目つきの着流し和装の男性だった。 「あの、『雲竜堂』というお菓子屋さんは、ここですか」 雰囲気に押されつつ塔子が問うと、きらりと男の目が光る。 「雲竜堂はここじゃないねぇ。  あんた、何しに来たんだい?」 「あの、私、会社のお遣いに来たんですけど、道に迷ってしまって。  雲竜堂さんのお饅頭を買いに来たんです」
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