名もなきもの

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「ん?何これ?」 「ちゃ~んと残しといたよ。我が学園のマドンナ、“ジェシカ”の牛舎だけは。ジェシカは慧斗がお気に入りみたいだし♪」 「え~!勘弁してよ!!!」 そうなのだ…。ジェシカは学園一【おとなしく】慧斗の顔を見ると求愛行動を示して、ものすごい勢いで追いかけてくる。5分くらい追いかけ回すと諦めておとなしくなるのだが、そこからがまた厄介なのだ。 べとべとに濡れた鼻はくっつけてくるわ、臭い息を吹きかけてくるわ…とにかく密着ぶりがすごいのだ。 大体ジェシカって名前は教授が某ハリウッドスターの大ファンだから、なんて安易な理由から付けたらしいが、どこをどう取っても似ても似つかないじゃないか。 僕は大きなため息を洩らすと、覚悟を決めてジェシカの愛の巣へと飛び込む。
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