深海の記憶

水の記憶

ワフッ ワフワフワフッ

顔に何か湿っぽい感触がする。

顔を舐めまくるのは、我が家の番犬 マリン だ。

ま、実際には人懐っこ過ぎて誰にでも愛想がいいので、番犬にはならないのだが。

我が家の朝は早い。

両親はいるにはいるが、仕事で世界中を飛び回っていて年に数回会えるか会えないかの忙しさだ。なのに母親はペットショップに行く度に新しいお友達を連れてきてしまう。もちろん面倒を見るのは僕。

なので我が家は動物園と化している。犬、猫、フクロウ、ハムスター、ウサギ、イグアナ、熱帯魚………

もはや名前があるのか分からない子さえいる。

こうして僕の早朝ワーク(餌やり)は始まる。