水の記憶

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下り坂の半ばまできたあたりで、マリンが突然すごい勢いで走り出した。リードを握っていた慧斗は思わず前のめりに転びそうになる。 「なんだよマリン~落ち着けって。トイレか?」 すると普段から落ち着きのないマリンはおろか、ほとんど走らないシエルまでが全速力で駆けていく。 2匹は大通りの交差点までやってくると、いつもの散歩コース(左に曲がる)を外れ、河辺に向かう右方向に進路をとる。 ここまで来ると慧斗は抵抗を諦めて、マリンに引っ張られるままに進んでいく。 河川敷を滑り降り、橋の下へさしかかったあたりで2匹はぴたっと足を止める。
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