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2匹はじっと息を潜めて1点を見つめている。その視線の先をたどる……そこには怪我をした鳥がいた。
慧斗はビックリしてぐったりしている鳥に駆け寄ると、着ているパーカーを脱ぎ、息も絶え絶えな生き物を包んで抱きかかえる。
それからすぐに家に舞い戻ると、まだ獣医としてはつたないが、持てる力すべてを注ぐべく鳥と向かい合う。本来は獣医師免許のないものが治療を行ってはいけないが、この場合は仕方がない。何よりも慧斗にはこの患畜について、何となく気になることもあった……
それから1時間、治療は無事終わる。
やはりそうだ。鳥だと思っていた生き物には翼はあるが、クチバシはない。足も鳥のものとは違い、尾も羽というよりは鱗に近いものに覆われている。
今まで見たこともない生き物がそこにいた。
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