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 少女の下へ、恰幅の良い四十代後半程の女性がやってきた。  女性の問いに少女が頷くと、女性は、 「丁度良かったわ!」 と少年の手を引いた。 「え、マジ!?」 「うちの息子、今反抗期でね。頭はそれなりに良いんだけど、勉強をしなくなっちゃったんだ。あたしが、『飯作らないよ!』って叱ったら、『アンタの親なんてやめてやる!!』って言いだしてさぁ」 「フムフム。そりゃあ大変ですねぇ」 「本当に思ってるのかよ?」 「そんじゃ、今日一日交換ね」  彼にも一応家族がいるのだが。女性は少年の手を引いて去って行くと、少女は一人取り残された。  少女が取り残されてから五分後、少女の下に、先程の少年とは別の少年がやってくる。背は少女よりも小さく、黒い髪に白い肌、整った顔つきをしたクール。知的さは存分に伝わってくる。 「母ちゃんが言ってた変な人って君?」 「ですです! 私は今、如何にも賢そうな君を見て心が躍っているよ!! で、どこ中?」 「平元(ひらもと)第三中だけど」 「うーん。言っちゃ悪いが、平元第三中かぁ。出来れば白瓜(しらうり)特別中等学校が良かったなぁ」 「は? 意味分かんないんだけど」  怪訝そうな顔をする少年に、少女は経緯を説明した。それでも納得がいかなそうな少年だが、少女は気にせず彼の手を取る。 「ねぇ、その学校では学力テスト何位なの?」 「大抵1位だけど」 「うっひょう! すっごい、天才じゃない!!」 「……そんなこと無いよ。俺なんて、凡人中の凡人だよ」 「あら、そうなの? ここにテストの平均点14点の人間がいるのに?」  さらっと言った少女だが、初めて彼女とあった彼からしたら、その発言の衝撃は大きい。彼女を凝視するその姿は、無言の、「まじでか」を表現している。 「テストの点だって、高くたって何も良くない。友達なんて出来ないし、高得点取ったって親からも先生からも出来て当然って顔されるし、2位や3位の人からは睨まれるし。人としては、凡人以下だよ」 「そっか。だからお母さんに反発してるんだな?」 「まぁ、そうとも言えるね」
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