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「では。無事に桜花祭を終えたことにっ。……乾杯っ!!」
紙コップに入ったジュースをレイジが掲げると、生徒会のメンバーが一斉にコップを合わせた。
祭りも終わり、後片づけをした頃にはすっかり人がいなくなってしまった会場で。
マナの木の下に引いた御座でささやかな宴会が行われていた。
「これ。生徒会の経費で落としていいですよねぇー」
「お、おう……」
「まさか。私的な事に使うわけじゃなかろうな?」
「いや、アンタがそれを言うかぁっ!!」
シャルの質問に曖昧に答えたレイジ。それを元生徒会長のセイラが咎めると、すかさずアスカが突っ込んだ。
「こんなんじゃあ、全然酔えねぇ…………」
ペットボトルのジュースを片手に、風紀執行部の部長がそう告げる。花見に当てられたのか、なぜか酔っぱらっているようだ。そんな鬼神をなだめる部下たちを他所に、おとといから何も食べていなかったヨゾラが久しぶりの食事にガッツいている。
「おい、ヨジョラ。だいたいおめぇは食ッチャネ、食ッチャネしてるから、敵に足元をすくわれるんだ。もっと鍛え直しぇっ!!」
「だーっ。誰がヨジョラ、だ。新手の怪獣かと思ったわ……。大体そもそも俺がセイラさんに敵うはずがねぇだろうがっ」
「そもそもお前だぁ。お前がばぁかな事考えたきゃら、私がこんな徒労するハメになったんじゃないかぁっ」
「…………す、すまないな……」
ミサオにくだを巻かれたセイラが困った顔で謝る。その長い黒髪に腕を回した青髪の少女。
一同がぎょっとした表情になるのもおかまいなく、ミサオはさらにエスカレートしていった。
「なぁんだお前……。やっぱり私より胸、あるんじゃないのきゃぁあんっ!?」
後ろから回された腕が彼女の胸囲を包みこんだが、今回ばかりは後ろめたさからなのか、セイラは抵抗しなかった。
「はっ……まさか。生徒会と風紀執行部には確執があるって噂だけど。実はトップ同士がそういう関係だったりっ?」
そのアスカの思い付きは、周囲の人間を勘違いさせた。
意外にこの二人ならありえるのかも……。
と、周囲がざわつく。
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