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自分をこんな目に合わせた挙句、様々な問題を起こし、さらには大切な御神木までも破壊しようとした張本人に対して向けられたのは、怒りでも憎しみでもなく。もっと言い現わせないあたたかいなものだった。
「ふふっ。私ももう終わりね……、最後に新しい生徒会長の勇姿を見れただけでも、よしとするわ……」
「なぁに言ってんですかっ、先輩。アンタはまだまだ俺達に助言をくれなきゃ困るんですよっ!!」
「お前は何を言って……。私は学園のお金を使いこんだ挙句、多くの生徒を巻き込んでこんな事件を犯した。それは許されるとかのレベルではないわ……」
「ああ。アンタのやったことは許されない。でも、そもそもその根源は一人の生徒を救おうという善意からなんだろ? アンタのやり方は間違っていた。でも、いいじゃねぇか、間違ったって。たった一度のミスで簡単に、アンタが築き上げてきた二年の成果が崩れ落ちるような、そんな軟なもんじゃねぇだろっ」
その一部始終を見ていた学生達からまばらな拍手が起こった。そして、次第に数は増え、満開となる。見事に咲いた桜のように。
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