7人が本棚に入れています
本棚に追加
つかえがなくなると、今までの三ノ宮の風景や空気を思い出して……自然とやりたいことがわかりました。
私は楓さんに提案します。楓さんは、木漏れ日の光に手を伸ばしていました。
「楓さん、『坂のさか』に戻って紅茶を淹れたいです。楓さんにおいしい飲み物を淹れたいんです」
「ええ、加奈子ちゃんありがとう。なら私はフレーバーティーの『ひとやすみ』を淹れてほしいわ」
「はい!そういえば、楓さんは『ひとやすみ』という名前にしたんですか?」
楓さんは大きく息を吸う。白いリネンのカーディガンが柔らかくなる。
「加奈子ちゃん、ちょっと長くなるけどいいかしら?」
こくりとうなづく。こくりから、楓さんは緩やかな川岸みたいに、流れるように話す。
最初のコメントを投稿しよう!