どこかで、どこかで、香ばしい葉っぱの匂いがする

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「お客様に『ひとやすみ』して欲しかったからなの。『坂のさか』って、丁度北野坂の中くらいの所にあるじゃない。 ここの北野坂近辺は、観光目的のお客様もいれば、住まいを持っている人、大学の学生さん達もいるでしょ。自然と坂を上り下りする人達も、多くなるの。そういった人達が『ひとやすみ』できたらなあと思って、名付けたの。 もちろん、いろいろな事情がお客様にはあるし、それを私でどうにかできるなんて考えられないけど…… でも、『ひとやすみ』を飲んでいる時だけ、また他のお茶を飲んでいる時だけでも、ホッとしてもらって休めたらなあって思ったの」 「『ひとやすみ』にそんな秘密があったんですか?」 「変だったかしら?」人差し指の第二関節を下唇につけて、心配そうに楓さんは私にたずねます。 「全然です。その話しを聞けて……もっと元気になれました」 「私もなのよ」 「へっ?」 「加奈子ちゃんの笑顔で、私はもっともっと元気になれたの。加奈子ちゃんと私、けっこう似ているから。人と人のふれあいって、つまりそういうことなのよ」 そう語る楓さんはとても素敵な顔をしていました。
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