どこかで、どこかで、香ばしい葉っぱの匂いがする

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楓さんが店長代理の店『坂のさか』へ向かう時、ふと私は今日のことを振り返る。 早く、早く、せっつかれるように気持ちがはやってしまって。 坂を一気に駆け上がるのも、駆け降りるのも、大変。 大変で、とても大変だったから、楽しかったことも知らないうちに楽しくなくなっていて。 でも、今はちょっと前方に、一緒に見守って歩いてくれる人がいる。 とんでもない視点をくれる人。 ――いやとんでもないのがわかる私も、とんでもない人です。 これから、もっと、もっと、素晴らしいものを見つけていこう。 探していこう。 私はそう思う。 でも差し当たって、一つ素晴らしい心当たりがある。
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