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「んー、三ノ宮の下り坂って降りるとき、とてもいいのよ。加奈子ちゃんは?」
「へっ?」
「じゃあ、三ノ宮をぶらぶらしてみましょう……きっと見つかると思うから」
うーんと、楓さんは息を吸う。
夏の陽気と嗅いだことのない変わった空気を感じる。
いつもと同じ嗅ぎなれた匂いなのに、楓さんといると新鮮で新しい気持ちに変わってしまいます。
「見つかるって、いったい何なのですか楓さん」前方で坂を上ってくる、日傘の婦人さんをよけます。
「秘密」また笑顔。
てくてくと私達は閑静な住宅街の坂を下ります。
白のキャンバス。
私が三ノ宮に初めて来た時、そう感じました。
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