7人が本棚に入れています
本棚に追加
なにか。
見つけられたような、そうじゃなかったような。
楓さんには正直に伝えたい。
「よくわからないんです。もしかしたら、今の自分にはなにがいいかわるいかなんて、良し悪しなんてわかるはずないかもしれなくて」
「本当にそうかしら。加奈子ちゃんは、わかってると私は思うの。そうじゃなかったとしても、そんな日はいつまでも続かないわ。
ねえ、加奈子ちゃん。もう少しだけ、三ノ宮を回ってみない?きっと、楽しくなると思うから」
優しく、丁寧に櫛(くし)をいれるように、楓さんは言う。
心の中があたたかくなる。いつのまにか、あたたかくなってしまった。
「はい」あれっ、気付かない内に声が元気になっている。
こころなしか、足も軽くなった気がする。
最初のコメントを投稿しよう!