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「わ、なにこれ……ちょっと、かい」
「最初は気持ち悪いけど、だんだん慣れるから」
根元まで入って今度はズルズルと出て行く。その感触に身震いした。抜けたと思ったらまた入ってくる。俺は身を竦めギュッと目を閉じ、波のように襲う悪寒に耐えた。
「力入れんなよ。大丈夫だから」
海はそう言って、反対のヌルヌルの手で俺のを握る。
「入れんなって言われても……」
もうお返しに握り返す余裕はなかった。海の大きくて温かな手のひらが俺の先端を包み、異常に滑りいい手で手首をクルクルと動かす。
「うぅ……う」
今まで感じたことのない得体の知れない感触に意識が集中する。刺激に酔っていると、また悪寒に襲われた。「そっち、やだ」そう言いたいのに、言葉が出ない。また気持ちいいのか悪いのか分からなくなる。混乱する。なんとも言えない気持ちになった。耳に届くプッグプッという変な音。それがまた気持ちをぐちゃぐちゃにした。恥ずかしい。逃げ出したい。胸が苦しい。違う、お腹が苦しい? なにがなんだかわからない。俺はいったいどうなっちゃうんだ。必死なのに不安を感じる。嵐の中を漂ってるみたいだ。
何かにすがりたくて、自分を見失いたくなくて手を床へ這わせながら首を左右に振った。
「そんなイヤイヤして、なんて可愛いんだ。痛くないだろ?」
俺はこんなに混乱してるのに、海はすごく嬉しそう。
「あ、やぁ……」
異物に対しての悪寒や、違和感はさっきよりだいぶんマシになった。でも、だからと言って気持ちいいなんて言い切れやしない。ただ違和感にちょっと慣れたってだけだ。こんなのやだ。なのに嫌だと言えない。頭の中で喚いていると、海の指がゴリッと何かに触れた。途端に腰がビクッと震え声が出た。
「ひゃうっ! んな、なに?」
「ここ?」
海がもう一度そこを押した。再び跳ねる腰。
「やあ! ……うわ、ちょっと待って」
「可愛い声だすな~。もういっぺん……」
海はまるで新しいおもちゃを見つけた子どもみたいに、目をキラキラさせてそこを触ってきた。
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