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「あ、なら、シェアハウスでどう? 上がり込むんじゃなくて家賃は出してるよ。ってスタンスで。ここの家賃の半分出してくれりゃいいよ。そしたらそれを家の光熱費に充てる。それなら文句ねーだろ?」
「……まぁ」
別に文句があるわけでもないんだけど。
「じゃ決まりな!」
海はシャワーのヘッドを掴み俺の肩に湯を掛けると、自分も適当に流して立ち上がった。
「あ~腹減った~」
風呂から手を伸ばし、タオルを鷲掴み広げ俺の身体を包む。俺はぐるぐる巻きにされ、その上からギュウウウッと抱きしめられた。心から嬉しそうに微笑みながら顔中にキスしてくる。溺愛だな。海ってこんなやつだっけ? 長い付き合い。しばらく会ってなかったにせよ、今更感がハンパない。俺はちょっと恥ずかしいよ。
「昼飯食ったら、ちょっと昼寝して、それから引っ越しの準備しような」
「もう?」
「今日と明日の日曜日だろ? 平日も時間あったら荷物取りにくるし、移動できるものは先に移動させておいた方がいいだろ?」
思い立ったが吉日とばかりに行動へ移す海。冷蔵庫の余り物でチャーハンを作ったかと思うと、食べて休憩もせず、さっさか率先して荷物をまとめ始めた。
「孝宏疲れたろ? 寝てていいから」
海がニヤニヤ顔で優しく言う。確かにだらんとしてたい気分だし、実際身体もだるい。でも任せるのもなー。俺の荷物なわけだし。ソファに座ったままうだうだ考えている間にも海はクローゼットを開けて今は必要のない夏物の服をドサッと出してたたみ始めた。ほんとに手際がいいやつだよ。面倒見もいいし。
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