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後ろでボーッと見ている俺に気づいたのか海が「やれやれ」と言った顔で立ち上がった。
「なんだ、一人で昼寝は寂しいのか? 可愛いやつだな~。仕方ない。俺も一緒にベッドへ入ってやるよ」
「は? そんなこと一言も言ってない」
「うんうん」
肩を抱かれ寝室へ連行される。布団をめくって「入って入って」と半分押し倒すように転がされ、なぜか覆い被さってくる海。
「海? 昼寝だよな?」
「そうだよ」
体重を掛けないようにのしかかる海に唇を塞がれる。押し当て、軽く吸いながら何度も角度を変えて啄んでくる。
「嘘つき」
「孝宏が悪いんだろ?」
「なんでだよ」
「一人じゃ眠れないもん。って顔するから」
「してねーよ」
海の中でいったい俺はどんなキャラクターに仕上がってるんだ? どう考えても俺じゃない。子供のころから一緒にいるのにどこでどう間違って作り上げたんだろう。一緒に住んだら本当の俺に幻滅するかもな。そうなった時の海のリアクションが頭に浮かびおかしくてちょっと笑けた。
でも、幻滅したら……この溺愛もそこで終わるのかな?
そんなことを考えていたら鼻の頭にチュッとキスされた。ゴロンと俺の横へ寝転がり、身体を横向きにして右手で頭を支える海。左手が俺の胸の上で赤ん坊にするみたいに優しくトントンする。
ちょっとくらいなら海の中の「孝宏」になってやってもいいかな……。
俺は海を見て微笑み、そのまま目を瞑った。
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