プロローグ

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プロローグ

「もしかして村木?! おまえ何年ぶりだよー! 今東京に住んでんだろ?子供はいくつになるんだ?それにしてもびっくりだよなー」 ガキ大将だった慎太郎だ。 チビで小太り。 20年経っても全然変わっていない。 まともに会うのは小学校卒業以来かもしれない。 よく見ると、懐かしい顔ぶれが揃っている。 皆あちこちで小さな輪を作り 各々近況報告をし合っている。 「多江子、行こう。」 ハンカチで目頭を押さえたなつみに呼ばれ 慎太郎から離れて、斎場へと歩く。 式が始まり、親族の涙を目のあたりにした途端 さっきまでの同窓会ムードは一転し あちこちですすり泣く声が聞こえてきた。 なつみに続き、焼香の列へと並ぶ。 遺体は損傷が激しく、顔もわからないほどだったと噂で聞いた。 胃酸が込みあげる感覚に襲われて、ハンカチで口元を覆った。 今より随分昔の写真だろうか 遺影の中の晴香は笑顔だった。 晴香となつみとアタシ アタシだけが私立中学へ進むまでは 3人は親友と呼べる仲だった。 好きな男の子の話をした日 ゲームが原因でくだらない喧嘩をした日 お泊り会をして3人でお風呂に入った日 晴香との思い出が蘇る。 でもアタシはそんな昔の話より 半年前のことを鮮明に思い出していた。 晴香…どうして自殺なんかしたの?
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