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やっとの思いで学会会場に到着すると急いで受付に走った。東京でも有名な立派なホテルで開かれるこの学会。世界中のエコーに携わる人間が集まるということもあって、各メーカーもすごい力の注ぎ用だ。
「なんか…すごいね」
「まぁ集まる人間が人間だからな。世界の重鎮達が来るんだ。そりゃあ国内の学会とは違うよ」
なんとか受付を済ませ、ゆずに隠れてあたりをキョロキョロと見回す。重鎮というフレーズで心臓がキュッと縮こまる。
そんな有名な先生たちの前で記念講演とか…おこがまし過ぎる!大丈夫…かなぁ?
ゆずの腕にしがみ付く私を見て、彼は一つため息を吐いた。
「大丈夫だよ。あんなすごい論文を書き上げたんだ。自信を持て。それが世界的に認められたから、今こうしてここにいるんだろ?」
「…うん。ありがとう」
頭をくしゃくしゃと撫でると柔和な笑みが私の緊張を和らげる。
いつもゆずに助けられてばっかりだな…
何も言わなくても私が何を考えて、何を思っているのかすぐにわかってくれる。
「おう!おはよーさん。気分はどうや?」
ロビーの奥から颯爽と現れたのは黒崎さんだった。確か彼は今日の夕方に日本に着くって言ってたと思うのに…
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