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「黒崎さん、夕方に着く予定じゃなかったんですか?」
「当初はその予定やったんやけど、早めに仕事切りついたし、みかんちゃんの講演聞かへんかったら何のために学会行くんかわからんやん」
びっくりしたけど、こうして知り合いがいっぱい来てくれるということはすごく心強い。おそらく上司のキャシーさんも会場入りしているはずだ。
「別に無理して来る必要はないのに」
「俺は無理してへん。みかんちゃんのためならどこにだって行けるで」
むすっとした表情でゆずが呟いた。この間からなんだけど、黒崎さんが現れるとゆずの雰囲気が少し変わる。それはそれで新しいゆずが見れて嬉しいのだけれども…仲がいいのか悪いのかわからないこの二人のやり取りに困ることもしばしば。
「あっ!わ、私準備しなきゃ!ま、また後で!」
「頑張れよ」
「楽しみにしてるわ」
二人に見送られて私は控え室へと向かった。
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