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アメリカに行くと決めてがむしゃらに頑張ったとこ。うまくいかなくて悩んだこと。キャシーさんや他のメンバーにいっぱい助けてもらったこと。
アメリカで怖い思いもしたけれど、それも含めて今の私がいると思えば悪くない。
『それでは本日の受賞記念講演はメーヤーホスピタル、エコーセンター所属、春川みかんさんです。みなさん、盛大な拍手を』
会場が割れんばかりの大きな拍手。壇上に上がると今まで見たことのない景色が広がっていた。
大勢の重鎮達の視線が私を捉える。こんなたくさんの人たちの前で話したことなんてない。
小鳥みたいにトクトクと急ピッチで走り出した私の心臓。落ち着かなきゃ、落ち着けみかん。
そう思った時だった。
何故だろう。何百人という大勢の人がいるのに。彼だけが際立って見えてしまうのは。
視線の先にいたのはゆず。
彼は自分の首元をポンポンと叩くと、大丈夫とゆっくり口を動かした。
大丈夫…
それを見た途端、鼓動がだんだんゆっくりになっていくのが感じ取れた。
目を閉じ、もう一度深く深呼吸をして、ゆっくりと周りを見渡す。
すっかり落ち着きを取り戻した私はマイクを取り、スピーチを始めた。
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