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朝は二人でいちゃこらしてたじゃない!
『嘘、そうなの?』
『違うよ。なんていうか…喧嘩というか、なんというか……』
どんどん声が小さくなっていくマイク。
えぇ?この短い時間の間に一体何があったの??
『あ、ミーティング始まるよ』
『本当だ。マイク、後で聞くから。早く行こう』
『うん』
週始めに必ず行われる朝のミーティング。一週間の予定や連絡事項などがここで伝えられる。キャシーさんが前に出るとざわついていたフロアが一気に静かになった。
『おはようございます。今日のミーティングなんですが、始める前にみなさんに紹介したい人がいます』
その言葉と同時にキャシーさんの横に現れたのは私より少し年上だと思われる黒髪の男性。
『えー、黒崎元(くろさき はじめ)です。日本の大阪から来ました。少しでもみなさんの技術を盗めるように頑張ります。よろしくお願いします』
男性が頭を下げると新しい仲間へ歓迎の意味を込めた拍手がわき起こった。
ここにはたくさんの留学生が来る。だけど同じ日本人の留学生は初めてだった。
『今日は1日見学をしてもらって、明日からバリバリ働いてもらうつもりだからよろしくね』
『はい』
可愛い笑顔が印象的な黒崎さん。
同じ日本人の仲間ができた、ということが嬉しかった。
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