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このやろう。すやすや眠りやがって。 どんなけ憎たらしくても、イラついても、いつも涼しそうなゆずを見ているとどうでもいいかな、と思ってしまう。これが惚れた弱みってやつなんだろう。 ゆっくり顔を近づけ、瞳を閉じる。 もう少しで唇が触れる、その時ーーー 「時間切れ」 「へ?」 眼を開くと漆黒の瞳に映った間抜けな私の顔が映る。 同時にちゅっというリップ音が響いた。 「さっさと準備しないと遅刻するぞ」 ニヤリと口角を上げた彼はいつものように意地悪な笑みを浮かべた。 一気に血液が顔に集中するのがわかる。 「え?ちょっと…一体、いつから……?」 「いつから起きてたかってことか?」 コクコクと首を縦に振る。 「時計を止めた時から」 それって初めからじゃない!!!    
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